【詩】蟻と卵

ポップでキュートなエレベーティングカンパニーで繰り広げられる頂上決戦は、 明日にでもか弱い僕らを飲み込み、食い散らかし、平穏を乱そうとこちらを睨み続ける。

血で血を洗うこれまでに体験したことの無い恐怖はとてもとても耐え難いもんだから、困ってしまってワンワンと泣いてみるんだけれど、
そりゃもう喉を枯らした活動家が群がるばかり、この世に一片たりとも、慰めてくれるものなんてありゃしない。

そんなユーモア溢れるクズみたいな世界の中で産まれてきた蟻の子供たちは、必死にコロニーを守ろうとしている。
自分たちの心の拠り所をまもるために、今日もあの黒い船に怯え、虐げられつつも、その少ない生存率の日常の中で、意気揚々と、前に進んでいる。

ある日出会った卵は、彼らに言うんだ。

僕は君たちに明日を与えるんだと思う、でもそれは決して明るい未来とは言えないよ、だいいちに、僕を持っていくのは危険だ、
途中で僕は割れるかもしれない、太っちょだから、君たちを押し潰すかも、まだ若いから、時を経て毒を孕むかも。

そんなネガティブでニヒルで可能性を秘めた卵に、彼らは言ってみたりする。

僅かな可能性があれば、女王様と僕たちの明日のために、何だって致します、仲間をいくらでも呼びます、
それが僕たちの生き方なのです、頂上のことなんて知らんのです、ただ日々の流れに従うだけなのです。

卵は何となくだけど納得して彼らのために血路を開き、そのまがまがしい道を自身の命によって清めた。
様子を見たエレベーティングカンパニーのテッペンは金をばらまいて支持者集めをしようと試みた、

蟻と卵とありとあらゆる子供視点の見落とされた黒い船の下を支える気まぐれな存在たちのためのフリをして。

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